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サイトメガロウイルス感染症

サイトメガロウイルス感染症

サイトメガロウイルス(CMV)は多くの場合,新生児期を含む乳児期あるいは幼小児期に感染する。一般的に無症状あるいは軽度の症状にとどまる。そのため成人女性の多く(約70%)はサイトメガロウイルスに既に感染しており抗体を獲得している。しかし、妊娠中に初めて感染した場合に胎内感染が起こることや超低出生体重児の感染の場合は重症となる可能性がある。

 

胎内感染の場合(先天性)

先天性CMV(サイトメガロウイルス)感染症の症状は、出生児の低出生体重、肝脾腫、肝機能異常、小頭症、水頭症、脳内石灰化、紫斑、血小板減少、貧血、黄疸、網膜症、白内障、肺炎、痙攀などがある。生まれた時には症状が無くても、半年以上たってから難聴、精神や身体の発達の遅れ、運動の障害を起こすことがある

 

母乳による感染のリスク(後天性)

妊娠29週以降に母親のCMVIgG(サイトメガロウイルス)抗体が胎児に移行するため、それ以前に生まれた児や超低出生体重児は母乳によってサイトメガロウイルスに感染する可能性がある。

 

未熟性が高いため、後天性感染であってもしばしば 発熱や血球減少や肝機能障害を伴う症候性感染となり、時に敗血症様症候群、血球貪食症候群、壊死性腸炎、重症肺炎のような重篤な病態を呈する。難聴などの後遺症は残さないと言われてきたが、近年知的発達に遅れが出ることが分かってきた。

 

未熟児であるほどサイトメガロウイルス感染の危険性が高いが、未熟児であるほど母乳の恩恵は大きいため母乳哺育のジレンマとなる。

参考文献

森内昌子,森内浩幸,経母乳感染〜乳児への利益とリスク,モダンメディア 62巻4号2016〔食品衛生〕123

永井正,新生児におけるCMV 感染経路,Japanese Journal of Transfusion and Cell Therapy, Vol. 64. No. 3 64(3):479―483, 2018

水野克己,新生児のCMV感染症,昭和学士会誌 第73巻 第3号148-153項,2013

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精神科医めがね先生
都内大学病院で精神科医として勤務。 大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症、不安障害、全般性発達障害、認知症など幅広く診断・治療を行っている。外来・病棟・当直と日々の精神科医療に邁進している。 30代で1児(娘:すーちゃん)の父。すーちゃんは568g(超低出生体重児)で誕生し現在NICU(新生児集中治療室)に入院中。 趣味はサッカー観戦、フットサル、ダンス

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