最近の状況

出産後の妻にできること

妊娠高血圧症のため妻は身体中が浮腫んでいた。帝王切開後はすぐに血圧は降下して、浮腫みも改善すると思っていたが、すぐには血圧は下がらなかった。術後当日は麻酔の影響もあり、うとうとしてよく眠っていた。出産当日から母乳を絞るためにスタッフが来て、夜間寝ていても起こして絞るように指導してくれていた。辛いと言いながら頑張って母乳を絞っていた。母乳を出さないと出なくなるし、初乳には免疫、栄養、成長因子など赤ちゃんにとってすごく重要な成分が含まれているからだ。

 

妻は産後にすーちゃんに会いに行くのだが、あまりにも小さなすーちゃんを見て可哀想だと思い、涙が溢れ出ていた。なぜこんなに早く(3ヶ月早く)、もっとお腹の中で育つはずだったのにと自分を責めていたようだった。すーちゃんに会いにいくのが辛いと話していた。

 

そんな妻が辛いときにできることは何か。こういったとき大抵男は無力なのだが、小生は一応精神科医のはしくれである。少しばかりの傾聴と支持的対応、あとは認知の介入が出来る・・かなと思いながら妻の話を聞くようにした。あとは普段つけている日記を渡し、素直な気持ちを書くように促した。

 

日記でも自分を責めることや、すーちゃんに対して申し訳なく感じることを書いていた。それに返事をするように、今回のことを私がどう考えるかを次のページに書いておいた。

 

結構いろいろ書いたけど、要点としては「辛いよね」ってことと「あなたのせいではないよ」という2点を書いた。あと傾聴といっても話を聞いて、全部を肯定するわけではない。辛いという気持ちには寄り添う(否定しない)が自分を責めるような思考・考えは否定した。

・辛い感情は共有する

・辛い気持ちにさせる思考は否定する

そんなこんなをして過ごしていると、妻の気持ちも落ち着いてきて、身体の方も良くなってきた。血圧の方は約1ヶ月ぐらいかけて徐々に下がってきて、浮腫みも改善するようになった。

ABOUT ME
精神科医めがね先生
都内大学病院で精神科医として勤務。 大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症、不安障害、全般性発達障害、認知症など幅広く診断・治療を行っている。外来・病棟・当直と日々の精神科医療に邁進している。 30代で1児(娘:すーちゃん)の父。すーちゃんは568g(超低出生体重児)で誕生し現在NICU(新生児集中治療室)に入院中。 趣味はサッカー観戦、フットサル、ダンス

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。