最近の状況

搾乳は大変だー!

 

母乳が0.5mlを1日8回から始まり、徐々に増えてきた。

そして点滴は必要なくなり、中止となった。母乳は徐々に増えていくのだが、呼吸の状態も見ながら増やしているようだ。母乳の量が増えるとお腹が膨らむため、肺が膨らみにくくなる、そのため呼吸が苦しくなるのだ。酸素モニターで呼吸状態を管理しているが、呼吸状態が悪くなるとアラームが鳴りだす。さらに悪化すると音は一段と緊急を要する音に変わる。その音で呼吸状態の悪化がわかるようになっている。

呼吸が安定していると1mlずつ母乳が増えていた。母乳が増えてしばらくすると体重も少しずつ増えていくこととなった。3週間目で母乳が1回12mlを8回に増えた。そして体重は710gに!少しずつではあるが母乳の量が増えていること体重が増えていることが嬉しく、妻と2人で喜び合っていた。

 

母乳は妻が1日8回をめどに搾乳を行い、それをNICUの冷凍庫に預けているものを解凍して使っていた。1日8回の搾乳はとてつもなく大変で、1日は24時間なので平均3時間おきに搾乳することになる。しかも毎回搾乳した後は容器を洗って乾燥させなければいけないのだ。そうしないと次回使えない。容器は1セットだけだと、大変なので2セット購入して使い回していた。

搾乳は夜中や朝早く起きてしていた。入院中はスタッフが搾乳しますよと起こしてくれていたようだが、自宅に戻ってからは起こしてくれる人はいない。代わりに私が隣でスヤスヤ寝ている。妊娠高血圧で完全に体調が戻っているわけではなく、夜起きるのは辛そうだった。

「すーちゃんに母乳を吸ってもらうまでは母乳を絶対に絶やしたくない。」と言い、そう強く思えば思うほど、無理をしている様子があった。

例えば搾乳器は手動と電動と2種類あるが、手動の方が搾乳量が多く採れると手動を毎回使っていた。毎回毎回手動で毎日やり続けたことにより妻の手が腱鞘炎になっていた。そのため電動の搾乳器を購入したが、それでも少しは楽になったが、手を握ることが困難になるまで搾乳器で絞っていたようだ。

そして、もう心が折れそうだと語る。すーちゃんがいないのに一人で搾乳していて虚しさや、なかなか母乳量が採れない、出なくなるのではないかという不安もある。どうにか吸ってもらうまではなんとか継続したいが辛いから止めたいと何度も思うようになっていた。

「もう頑張ったし、出なくなったらそれはしょうがないじゃん。」と伝えた。夜は無理せず寝ることを優先し、粉ミルクを使う選択肢もあると提案した。その日より気が少し楽になったようでそれ以来母乳の出る量が増えていった。

絶対、絶対〜したい!!と思えば思うほど無理が生じる。

不安や焦りが生じたり、どこか力が入りすぎる、いつもより無理してしまう。そうすると後々頑張りすぎた代償を払うことになってしまう。

母乳で育てたい!!自分の子供に母乳をあげたいと思うのは当然だけど、絶対に、絶対に母乳で!と思いつめると余計に母乳は出なくなるし、辛くなってしまう。

絶対こうする!!と思えば思うほど逆効果かも。

 

ABOUT ME
精神科医めがね先生
都内大学病院で精神科医として勤務。 大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症、不安障害、全般性発達障害、認知症など幅広く診断・治療を行っている。外来・病棟・当直と日々の精神科医療に邁進している。 30代で1児(娘:すーちゃん)の父。すーちゃんは568g(超低出生体重児)で誕生し現在NICU(新生児集中治療室)に入院中。 趣味はサッカー観戦、フットサル、ダンス

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